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音戸のツツジと御手洗の町 ④

御手洗の町③(天満宮)


満舟寺から少し山側の道を歩くと、天満宮の参道前に出られる。

案内板によると、延喜元年(901年)、菅原道真公が九州に流される際に、この神社にある井戸に立ち寄って、手を洗ったという伝承を受けて創建された神社だそうだ。

なぜ、こんな沖合の島に立ち寄って手を洗ったのかは謎だが、この伝承が御手洗の地名の由来にもなっている。

天満宮 拝殿
天満宮拝殿
菅原道真公が手を洗ったことから、この町を「御手洗」と呼ぶようになったといわれていると案内版には書いてあるのだが、御手洗の名の由来には他に2説ある。①神功皇后が三韓征伐の際にこの地で手を洗った②関前灘で嵐にあった平清盛が手を洗い、口をすすいで観音様に手を合わせたところ、たちまち風がやんで助かったので、この地(満舟寺)に行基作の十一面観音を安置し、ここを御手洗と名付けた、というものである。
何故みんなが手を洗いたくなるのか、謎である・・・

拝殿の裏手には、菅公が手を洗ったという井戸と、本殿の下をくぐることのできる可能門という門(?)があり、ここでお願い事をすれば願いが叶うという。

菅公の井戸space.jpg可能門
左/菅公の井戸  右/可能門
左の写真が菅原道真が手を洗ったという井戸。この水で書初めをすると字がうまくなるらしい。
右の写真が可能門。本殿の下にあるこの可能門から願い事をすれば、神様が願い事を叶えてくれるのだ。


姪っ子の頭が(ついでに自分のも)少しでも良くなるようにお祈りしておいた。

今のところ、効果は微妙だけど・・・

御手洗の町④(若胡子屋跡)


天満宮から少し満舟寺の方に戻ると、若胡子屋跡を見ることができる。

港として栄え、多くの船乗りたちが訪れた御手洗には、藩から許可を受けたお茶屋が4件あり、最も大きかったのがこの若胡子屋である。

最盛期には100人以上の遊女を抱えていたといわれており、この辺りもたいそうな賑わいだったという。

若胡子屋跡
若胡子屋跡
栄華を誇った若胡子屋も、御手洗の港町としての衰退とともにその姿を消し、明治17年には隆法寺というお寺になり、その後は町の会館として利用されたという。・・・て、一昨年もおんなじ事を書いた気がするなぁ。

港町としての御手洗の衰退とともに廃業した若胡子屋は、お寺として使用され、建物の中は大きく改装されてしまったが、その外観と奥の和室部分や裏庭に、往時の面影を偲ぶことができる。

若胡子屋 奥の和室
若胡子屋 奥の和室
中は多くの個室に分けられていた若胡子屋も、お寺になった際に、部屋が取り払われて広いお堂になってしまった。だけど、この奥の和室部分はおそらく住居として残された物と思われる。
凝った意匠の施された欄間や出窓も見事だが、天井等には当時薩摩藩から輸出を禁止されていた屋久杉が使われており、当時の若胡子屋がいかに金と権力を持っていたかが分かる。

立派な意匠の施された欄間や、五色の石が練りこまれた裏庭の土塀、樹齢300年というヒョンの木(イスノキ)をはじめとした立派な木々を見ると、いかに若胡子屋が財力を持っていたかが窺われるのである。

若胡子屋裏庭
若胡子屋 裏庭
土塀に塗り込まれている五色の石は薩摩藩から取り寄せた桜島の溶岩らしい。写真の真ん中付近に移っている大木が樹齢300年のヒョンの木。

しかし、ここで働いていた(働かされていた?)のは、貧しさゆえに幼くして身売りされた少女たちであり、ここにはお歯黒事件や少女達の悲しいエピソードが漫画などで紹介されていた。

遊女たちの物語
遊女たちの物語
館内には、幼くして身売りされた少女たちの悲しい物語が紹介されている。実際、将来を悲観して海に身投げするなど、悲しい最期を遂げる者も多かったらしく、御手洗の対岸にある岡村島の観音埼には遊女の墓が沢山あるという。御手洗にも見知らぬ地に連れてこられて亡くなっていった遊女のために墓地が造られ、おいらん公園と名付けられている。

お歯黒事件については、一昨年ご紹介したので、詳しいことは省くが、お歯黒の付きが悪くていらついた花魁が、お付きの禿(かむろ)の口の中に煮え立ったお歯黒を流し込んで、殺害してしまった事件である。

殺害現場となった2階の部屋には、亡くなった禿のお歯黒の手形が今でも残っていて、裏庭には加害者の花魁、八重紫のお墓が残されている。

お歯黒事件の起きた2階の部屋
お歯黒事件の起きた2階の部屋
一応、お歯黒事件をもう一度書いておきます。
上客からお呼びのかかった花魁がお歯黒をつけようとしたがなかなかうまくつかず、いらだちのあまり、側にいたカムロ(お付きの少女)の口の中に煮えたぎったお歯黒を注ぎ込んだ。
唇を食いしばり、虚空をつかんでのけぞったカムロの口からは、おはぐろ混じりの黒血が流れた。支度部屋の壁にもたれるようにして死んでいったカムロの顔には、深い恨みがこもり、つり上がった眼尻からは一筋の涙が頬ををつたわっていったという。
それからというもの、ひとり鏡に向かって化粧をする花魁の鏡には、かすかに滅入るような声で、「もーしおいらんえ、おはぐろ付きなんしたか」とカムロの影が映るようになった。
さすがに今全盛のおいらんもいたたまれなくなり、前非を悔いて、四国八十八ヶ所をめぐってカムロの霊を弔おうと思い立ち、今治へ渡った。
すると、「もーし、おいらんえ、それでは此処から一人で行きなんせ」と言い残して、カムロの影は消えていった。
それ以来若胡子屋の遊女は百人になると、必ず一人死んで、ついに九九人の遊女で押し通したという。

遊女達の悲しいお話というより、怪談っぽくなっているのが気になるのだが、思わず人殺しをしてしまうくらい精神的に追い込まれていたということなのかな?

お歯黒事件で残された壁space.jpg八重紫の墓
左/お歯黒事件で残された壁   右/事件の加害者である八重紫の墓
左の写真の解説:真ん中の方に禿が苦しみのあまり壁に手をついた手形が残っていて、消そうとしても消えなかったといわれている。周りの文字は遊女たちの落書き。彼女たちは文字の読み書きもできたそうだ。
右の写真の解説:裏庭に造られた八重紫の墓。むしろ、禿の墓を作るべきだと思うのだが・・・


これが、遠い昔の話ではなく、ほんの150年ほど前の話だと思うと少しぞっとするなぁ。

今の日本も格差が激しくなってきているけど、貧しさゆえに身売りすることなんてことだけは絶対に起きないようにして欲しいな。




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音戸のツツジと御手洗の町 ③

御手洗の町 ②


住吉神社でお詣りを済ませて、御手洗の町に入って行く。

路地の間から見える海を眺めながら数分歩くと、満舟寺というお寺に到着。

路地の間から見える海
路地の間から見える海
海のすぐそばに街が広がっているので、路地の間からは海を見ることができる。
なぜか懐かしさを覚える風景だ。

満舟寺は、高い石垣が特徴のお寺で、お寺の案内板によると、1751年(寛延4年)に真言宗古儀派のお寺として藩の認可を受けたそうだ。

満舟寺 案内板
満舟寺 案内板
満舟寺のあった場所は、①もともと海に面していたこと、②高い石垣が築かれていること、③もともと御手洗に水軍の拠点があったことから、なんらかの水軍拠点だったと考えられているらしい。
一説によると、この石垣は四国攻めの際、加藤清正が築いたものだといわれている。
ここには、栗田樗堂のお墓もある。潮待ち、風待ちの港として栄えた御手洗の町は、多くの文人を招いたが、小林一茶とも親交があったという俳諧師 栗田樗堂も晩年を御手洗の町で過ごした。

ここには、俳諧師 栗田樗堂のお墓や琉球使節の書いた寺額の飾られた観音堂があり、港として栄えた頃の御手洗に、多くの文化人や使節団が訪れたことを窺い知ることができる。

満舟寺の高い石垣space.jpg琉球使節の書いた寺額のかかった観音堂
左/満舟寺の高い石垣  右/琉球使節の書いた寺額のかかった観音堂
石垣を見る限り、ちょっとした砦のようだ。加藤清正が築いたものかどうかは分からないが、水軍施設だったといわれるとそんな感じに見えてくる。

前回来た時は触れなかったのだが、境内には亀趺墓という亀の台座に載せられたお墓がある。亀趺墓は、大名家のお墓に使われている例はあるものの、庶民のお墓に使われているのは、全国的にも珍しいものらしい。

どういう経緯で作られたのかは分からないけど、やっぱりお金と力を持っている人が多く住んでたからこそ作られたんじゃないかな。

亀趺墓space.jpg浅野長治公の建てた神道碑
左/亀趺墓  右/三次の鳳源寺にあった神道碑
右の写真は三次の鳳源寺にあった神道碑
亀趺は、もともと功徳や功績を称えた石碑をのせるための台座だったもの。亀といっても池で泳いでる亀ではなく、龍の9匹の子供の一人で神獣である。贔屓という名前で、贔屓の引き倒しの語源にもなったらしい。
左の写真がその亀趺墓だが、神獣っていうか、なんとなくガメラっぽい・・・

ところで、この満舟寺には、アニメにも登場した足の長い小学生の標識がある。
足の長い小学生の標識
足の長い小学生の標識
アニメ「たまゆら」にも出ていた足の長い小学生の標識。
誰が作ったのかは知らないが、なかなかのナイスセンスだ。
来るたびに、置いてある場所が変わっているのは謎である・・・

いろんな文化財の眠る満舟寺だけど、これも文化財の一つといっていいのかな?




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しんどいわ太郎

Author:しんどいわ太郎
いつの間にか、1年遅れになっちゃった・・・
別のブログを立ち上げる予定ですが、ここには季節ネタをちょくちょくあげて残しておくつもりです。
新しいブログにデータを移すのはめんどくさいからね・・・

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