高梁市⑧ ~城下町とベンガラの町~
ベンガラ館
吹屋ふるさと村を出て、1.2キロ程離れたベンガラ館へと向かう。ベンガラ館は、明治時代の弁柄工場を復元した施設である。
正直言うとベンガラは赤い塗料だということしか知らなかったので、是非寄ってみたかったのだ。

ベンガラ館入り口
料金は大人200円。入り口では、人の良さそうなおばあちゃんがすらすらと解説してくれる。安い!
料金は大人200円。入り口では、人の良さそうなおばあちゃんがすらすらと解説してくれる。安い!
入り口近くにあった解説板によると、ベンガラというのは、インドから産出される黄土から命名されたそうだ。

ベンガラ館入り口の解説板
ベンガラはインドのベンガル地方産の物を輸入したことから名づけられたみたいだ。酸化鉄なので、要するに鉄錆。
旧片山家では、選別・出荷作業が行われていたが、そこに運び込まれていた板流しのベンガラは、こういった工場で造られたものである。ちなみに、この谷には4つの弁柄工場があったそうだ。
ベンガラはインドのベンガル地方産の物を輸入したことから名づけられたみたいだ。酸化鉄なので、要するに鉄錆。
旧片山家では、選別・出荷作業が行われていたが、そこに運び込まれていた板流しのベンガラは、こういった工場で造られたものである。ちなみに、この谷には4つの弁柄工場があったそうだ。
施設は製造工程順に周れるようになっているので、製造工程順にまとめてみます。
①釜場室



釜場室 原料のローハを焼くところ。
まず、釜場室で原料となるローハ(緑礬)を1~2日焼いて、「焼き」という赤褐色の粉を作る。

原料となるローハ(緑礬)ローハは、銅山の捨石である硫化鉄鋼を焼いて、硫黄分を除いたものだそうだ。もともとゴミだったものが大きな富をもたらしたというのもすごいね。
ローハ(緑礬)は、小さな土器皿(ホーロク)にのせ、皿を200枚前後積み重ねて焼いたそうだ。

釜場室の釜
天井は煙を出せるように造られている。
天井は煙を出せるように造られている。
②水洗碾臼室(すいせんひきうすしつ)



水洗碾臼室 水洗いして不純物を取り除き、碾臼(ひきうす)でより小さな粉にするところ
次に、①で造られた「焼き」を水洗いして階段状の水槽に流し込んで不純物を取り除く。

階段状の水槽 階段状の水槽で不純物が取り除けるということは、不純物は水より軽くて、焼きは水より重いということかな?
そして、水洗いした物を碾臼(ひきうす)でひいて、より小さな粉にする。



水洗碾臼室の水車と碾臼(ひきうす) 明治時代は碾臼は水車を動力としていたそうだ。その前は人力で、近年は電気を動力としたものを使っていたらしい。
③脱酸水槽室



脱酸水槽室 碾臼で引いたものから酸を抜くために水に浸けるところ
最後に、②でできたものから酸を抜くために、水に浸ける作業をする。

脱酸水槽室の水槽
水に浸けるとベンガラは水に沈むのでうわ水を捨てて、また水を入れてという作業を繰り返していく。数10回から100回位繰り返さなければいけなかったそうだ。
水に浸けるとベンガラは水に沈むのでうわ水を捨てて、また水を入れてという作業を繰り返していく。数10回から100回位繰り返さなければいけなかったそうだ。
ベンガラを水に浸けて、うわ水を捨て、また清水を入れてという作業を数十回から百回ほど繰り返して酸を抜いたそうだ。
そして、酸の抜けたものを干板に載せ、干し棚の上で天日乾燥したものが製品のベンガラ(板流しのベンガラ)になるらしい。
そして、酸の抜けたものを干板に載せ、干し棚の上で天日乾燥したものが製品のベンガラ(板流しのベンガラ)になるらしい。
施設の中の資料室には、ベンガラの工程を絵に描いたものや、ベンガラの使用用途などが展示されていた。

ベンガラの使用用途
ベンガラなんて変な名前だし、こんなに身近なところに使われているなんて知らなかった。
今は化学合成されているものが使われているらしいけど・・・
ともあれ、銅山の捨石からこんな一大産業をつくりあげた吹屋の人達の知恵や技術には感服するばかりだ。
ベンガラ館は少し地味な施設だけど、ベンガラのことを知るには本当にいい施設だ。
興味のある人にはお勧めかな。
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